オンラインでこそAL【対策4】

対策

4. 発言しやすい環境づくり

(1) 問題点の特定

まず、発言する学生の偏りという現象の何が、その授業において問題なのかを改めて検討する必要があるかと思われます。あまり発言をしなくても、頭の中では授業内容について深く考えている学生もいるかもしれません。それぞれの授業の目的・到達目標、ひいては当該授業を通してどのような学生に育ってほしいかという教育理念に照らして改めて考える必要がありそうです。

(2) 理解度の確認

積極的に発言をする学生については、誤った理解をしている場合も含めて、教員が学生側の理解度を把握しやすく助かります。学生の発言を踏まえて、授業中に誤解を正すための補足説明をしたり、より高度な内容について説明したりすることができるでしょう。一方、発言の少ない学生については、たとえ頭の中では深く考えているにしても、教員側としては理解できているのかが気になります。課題3で述べたように、オンライン授業では学生の雰囲気を察することが難しいので、この点が対面授業のとき以上に気になるのは、ごく自然なことといえます。

このように「学生全体の理解度の確認がしにくいこと」が問題点なのだとすれば、オンライン上でできる理解度調査を実施することが対策になるかと思われます。対策3において、ZOOMの投票機能やチャットを利用する方法、ピア・インストラクションと呼ばれる手法などについて紹介していますので、ご覧ください。

(3) 発言しやすい環境づくり

一方、学生から多様な意見が出ることが意味を持つ授業設計がなされている際には、「発言が少ないこと」それ自体が問題点になり得ます。意見の分かれやすいテーマを扱い、様々な立場があることについて授業を通して実感してほしいといった目的・到達目標がある場合には、「発言者の偏り」が「特定の意見への偏り」につながってしまいかねないことに注意する必要があるでしょう。ここでは、できるだけ多くの学生の発言を促す仕掛けが求められます。

(a)シンク・ペア・シェア

その際には、シンク・ペア・シェア(Think-pair-share)と呼ばれる方法が効果的です。教員からの問いかけについて、まず学生に一人で考えてもらい、その後ペアや少人数のグループで話し合ってもらった後に、全体で意見を共有するという方法です。ZOOMでは、ブレークアウトセッションを活用することで可能になります。いきなり全体の場で意見を求めるのではなく、考える時間や少人数で話し合う時間を設けることで、学生の発言への敷居が下がります。教員やTAがブレークアウトセッションを巡回し、「こんな意見がありましたが…」といった形で全体の場で紹介することも可能になります。

(b)ロールプレイ

また、発言への敷居を下げるという意味では、ロールプレイも有効でしょう。学生からすれば、必ずしも自分自身の意見ではなく、与えられた役の観点からの意見という「留保」をつけることができるので、心理的な負担が減ります。多様な意見があることを知るという目的・到達目標を持った授業の場合には、学生がこれまで自分自身では考える機会のなかった観点から考えることができ得るというメリットもあります。