「働きがいやジェンダーを考える」(2020年度Aセメスター 第7回)

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全学自由研究ゼミナール及び高度教養特殊演習「働きがいやジェンダーを考える」のTAによる感想です。

授業の概要

アクティブラーニング部門開講授業「働きがいやジェンダーを考える」(担当教員:伊勢坊綾)では、学生の興味関心に基づき、働きがい、働く上でのジェンダーの問題に関する論文や文献を輪読し、ディスカッションを行っています。

ゲスト講師の紹介

第7回のゲストは、ジャーナリストであり、東京大学教育学研究科博士課程で研究活動をされている中野円佳さんです。中野さんは、東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社に入社されました。育休中に立命館大学で修士号を取得された後、2015年には東京大学の博士課程に入学され、2017年からはシンガポールにお住まいになっています。

文献紹介

今回の授業で輪読した『「育休世代」のジレンマ:女性活用はなぜ失敗するのか?』は、中野さんの修士論文の内容がもとになっています。この本は、産休や育休といった制度が整えられつつあるように見えるにもかかわらず、総合職に就職した多くの女性が出産を機に離職してしまうことの原因を、総合職として入社し、出産を経験した15人の女性へのインタビューから解明したものです。

文献発表と質疑応答

4名の学生が文献発表し、その後、受講した学生さんたち一人一人から、たくさんの質問が寄せられました。たとえば、以下のような質問がありました。

●育児に関する問題には、教育や意識の変化といった長い時間かかる方策が必要となるが、たとえば科学技術などを使った短期間での解決策はあるか?

●家事を夫に任せるより母親が行ってしまった方が早い、という本書の一部分に関して、インタビューをした母親たちはこれに関して問題意識を持っていたのか?

●女性は優秀でないと企業に残ることは難しいのか?

最後に中野さんからは、新型コロナウイルスの流行で在宅勤務が進んだ側面やMeTooなどの動きも経て声をあげるということがしやすくなってきたという変化もあるので、本には様々な場面で抑圧がかかると書いたが企業のことをよく調べて選び取ったり変えて行ったりしていってほしいという言葉をいただき、授業は締めくくられました。

感想

学生からの「読みたい」というリクエストで決定した文献で、その著者がゲスト講師としてお越しになり学生からの問いに答えるという、意義深い授業でした。
授業では、学生さんたちの熱意にとても驚かされました。みなさん本の内容をよく読みこんだ上で質問しており、また授業終了後も残って質問をする方が多く、育児にまつわる問題への関心の高さを実感しました。
また、「私自身が就職活動をする中で、ある会社の育休などの制度が、実際にどの程度機能しているかをどう見分ければいいのか」など、本の内容を自分事に引き付けて質問している方も多く見られました。講師の先生から得た知見をもとに自分の意見を発展させる、というこの授業の狙いがよく達成されていると感じました。

(KALS TA 総合文化研究科博士課程 宮川慎司