ワークショップ「東大生がつくるSDGsの授業」(2020年11月28日、12月13日)開催報告

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先日開催しました下記のワークショップに関して、当日の模様を簡略ながらご報告します。

日時:2020年11月28日(土)14時~17時、12月13日(日)14時~17時
場所:オンライン
参加者数:25名(11/28)、30名(12/13)

1.目的

アクティブラーニング部門では、2020年度Sセメスターに、全学自由研究ゼミナール/高度教養特殊演習「SDGsを学べる授業をつくろう」という授業を開講しました。本イベントは、その授業の中で特に優れた授業案を設計した学生たちが、高校生を対象とした授業を実施するものです。

2.概要

当初の予定では、学生たちが双方向性を重視するアクティブラーニング形式で授業を設計し、東京大学駒場キャンパスのKALS(駒場アクティブラーニングスタジオ)にて対面の授業を実施することを想定しておりました。しかし、新型コロナウイルスの流行状況を踏まえて、オンライン(Zoom)での開催と変更されました。オンラインでの開催となりましたが、講師の学生たちは可能な限り双方向性を保つために、授業案を再設計してイベントに臨みました。

3.プログラム

[11月28日] 14:00~14:30 趣旨説明
中村長史(東京大学大学院総合文化研究科 特任助教)
14:30~15:20 17の目標を包括的に扱う授業「明日から自分たちにできること」
小林雄香(東京大学大学院新領域創成科学研究科生)
上岡稀生子(東京大学教養学部生)
15:40~16:30 目標7(エネルギー)を扱う授業「日本の再エネを“正しく”知ろう」
屋田春希(東京大学大学院総合文化研究科生)
坪井友里香(東京大学文学部生)
16:30~17:00 まとめ
伊勢坊綾(東京大学大学院総合文化研究科 特任助教)

[12月13日] 14:00~14:30 趣旨説明
中村長史(東京大学大学院総合文化研究科 特任助教)
14:30~15:20 17の目標を包括的に扱う授業「SDGsの“s”の意味を考えよう」
堤文音(東京大学教養学部生)
15:40~16:30 目標5(ジェンダー)を扱う授業「“あたりまえ”を疑え!」
石澤由佳(東京大学教養学部生)
鎌田康生(東京大学教養学部生)
三輪千恵(東京大学教養学部生)
16:30~17:00 まとめ
伊勢坊綾(東京大学大学院総合文化研究科 特任助教)

4.ワークショップの内容

[11月28日] (1)17の目標を包括的に扱う授業「明日から自分たちにできること」
「明⽇から⾃分にできる取り組み」をテーマとし、⾼校⽣にSDGs を⾝近に感じてもらう授業を実施しました。⽣徒を飽きさせないように授業は話を聞く時間とワークの時間を交互に構成しました。⽣徒同⼠で今⾃分がSDGs 達成のために⾏っている取り組みを話し合ったり、こちらから取り組み例を取り組みやすさや関連⽬標と合わせて提⽰したりしました。最後に取り上げたレジ袋有料化の話を通して、他者からの情報を鵜呑みにせず⾃分で考えることの重要性と、誰⼀⼈取り残さないというSDGs の掲げる本質を伝えました。

(2)目標7(エネルギー)を扱う授業「日本の再エネを“正しく”知ろう」
SDGsのターゲット7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」をテーマに、再生可能エネルギーに関する授業を行いました。漠然とした知識ではなく、再生可能エネルギーを増やしたくても一筋縄にはいかない現状を”正しく”理解してもらうことを目標にしました。まず再生可能エネルギーの種類や国際的な発電比率から日本の現状を紹介しました。その後、日本でメジャーな太陽光発電を例に、変動性や適地が限定的といった特徴や導入を促進させた制度を説明しました。その後、それらをふまえた課題と解決策をグループワークで考えてもらいました。最後にフィードバックを行うとともに、課題への取り組みとして実際に考えられている例として水素を使った蓄電等を紹介して理解を深めてもらいました。

[12月13日] (1)17の目標を包括的に扱う授業「SDGsの“s”の意味を考えよう」
「SDGsの“s”の意味を考えよう!-達成のために大切なこと-」というタイトルで授業を行いました。本授業の目的として、SDGsについての知識の習得、及び17のゴールの関連性に気付くことの2点を設定しました。前者についてはできるだけ一方向の知識提供にならないよう、ゴールの数や各ゴールの目標などSDGsの概念形成の部分では参加者が主体的に考えられるよう設計しました。後者については、具体的な事例を一つ取り上げた後、各ゴールの関連性に目を向けるという具体から抽象の流れを意識して設計しました。最後に簡単な確認セッションを設け、2つの目的の達成度を測りました。

(2)目標5(ジェンダー)を扱う授業「“あたりまえ”を疑え!」
私達の班では身近に潜むジェンダーにまつわるステレオイプに目を向けてほしい、という思いから「“あたりまえ”を疑え!」というタイトルで授業を行いました。授業の構成としては、大きく3つのパートに分けました。具体的には、初めにSDGs及びジェンダーという概念について説明を行ったのち、ジェンダーにまつわるステレオタイプに関して、なぜそのようなステレオイプを持つに至ったかの原因をロジックツリーというワークを通じて深掘りし、最後に各班でロジックツリーを交流するという形で授業を行いました。ツールに関しては、基本的にパワポを使用し、ロジックツリーのワークを行う際にはzoomのブレイクアウトルーム機能に加えてmiroと呼ばれるオンラインホワイトボードソフトを使用しました。

5.授業を行った学生の声

授業を行った学生に、参加者の反応はどのようなものであったか、そして授業を実施した感想を聞いてみました。

[11月28日] (1)17の目標を包括的に扱う授業「明日から自分たちにできること」
終始積極的な姿勢で、予習をしてきてくれたり、質問をしてくれたりと真剣に授業に向き合って吸収してくれていました。⾃主的にこういったプログラムに参加してくる⾼校⽣は向上⼼や学びへの意識の⾼い⽅ばかりで、それでいて⾃分の知識に⽢んじることなく素直な態度がとても印象的でした。
何に注意して授業を設計するのかという道筋に沿って計画しましたが、それはあくまで計画でした。実際には参加者の皆さんからの反応(最初のクイズの正解率、各個⼈の取り組みの状況、疑問点など)を受けて、臨機応変にこちらが対応していく部分が強いように感じました。こちらの伝えたいことを掴み取ろうとする意識が伝わってきて、こちらも伝えようという思いが⼀層強くなり、とても刺激的で有意義な時間を経験させてもらうことができました。準備の時間はとてもかかりましたが、それ以上のものを得られる貴重な機会だったと思います。(小林雄香)

グループワークや全体でのチャットを使った共有にも積極的に参加してくれました。最終ワークでも、こちらのメッセージに対応した意見が多く見られました。
事前知識も豊富な参加者が多く、驚きました。高校生がこちらの想定以上の学びをしてくれて、とても嬉しかったです。(上岡稀生子)

(2)目標7(エネルギー)を扱う授業「日本の再エネを“正しく”知ろう」
オンライン開催ということもあり、参加者がレスポンスしにくいのではないかと懸念していましたが、プライベートチャット等を利用して沢山の質問を頂けたため、むしろ質問・コメントは直接発言するよりも活発であったのではないかと思います。日頃、詳しくは学ばない再エネについて知れる機会は貴重であり、学校でもこのようなことを学べる機会があればいいと言ってくれていた参加者もおり、嬉しかったです。
普段耳にしない話題である上、少し技術的な内容も含む難しめのテーマであったため、興味を持ってもらえるか不安に思っていました。しかし、意欲的な参加者が多く、沢山の質問やコメントを頂きながらアクティブに授業をすることが出来、とても有意義な時間でした。講師側としても学びの多い時間となりました。(屋田春希)

[12月13日] (1)17の目標を包括的に扱う授業「SDGsの“s”の意味を考えよう」
発言や反応、チャットなどを通じて、全体として非常に積極的に参加してくれた。また、本授業で一番伝えたかったメッセージである「17のゴールの関連性」についてもしっかり理解してもらえたようで大変嬉しく思った。
授業を実施するということは、実施側がSDGsに関して十分学んでおく必要があるだけでなく、それを通じて考えたことや伝えたいことを自身の中で明確にしておく必要があることに気が付いた。50分という限られた時間の中で、メッセージとして何を伝えたいのか、どの順番でどの方法で授業を設計するとそのメッセージが最も伝わるのか、など考えていく中で、私自身のSDGsに関する知識が更に深まっただけでなく、SDGsに対する考えも醸成されたように思った。当日の授業では、こちらの意図が伝わった際には大変嬉しく、また想定外の回答が来た際にも、新たな考えや意見を学ぶことができ、全体として非常に貴重な経験であった。(堤文音)

(2)目標5(ジェンダー)を扱う授業「“あたりまえ”を疑え!」
ブレイクアウトに移行した際にも活発に議論が行えていた。授業が終了してからも、複数人の生徒が積極的に質問してくれた。
機材トラブルなどで参加できない一部の生徒への対応が難しかった。普段、なかなか会う機会のない高校生の“生の声”がたくさん聞けて楽しかった。(石澤由佳)

視野が広がったとの声を多くいただけて良かった。どの班も積極的に意見交換をしながらワークショップに取り組んでもらえていて、楽しみつつ学べていた。
初めて授業をしたのですが、想定外のトラブルが起きたり、想定以上に時間がかかったりと大変でした。オンラインだったためなおさらだったと思います。ただ、最後までやりきって非常に達成感があり、こちらも学ばせていただきました。もっと授業を受けてくれた高校生と関わりたい、と思えました。 (鎌田康生)

授業はただ教えればいいというわけではなくて、様々な場合に対応できるよう⼊念に準備をして、⽣徒がより学びを深める⽅法を授業前はもちろん授業を展開している時も考え続けなくてはならないということを強く実感しました。
また、オンラインという形に苦しめられたなというのが率直な気持ちです。対⾯であればもっとロジックツリーを深める時間が取れたり、授業内や授業後にでも⽣徒と話したり、質問に答えられたりするのに…と悔しく思いました。ジェンダーに関⼼がある⽣徒さんが多かったのですが、あまり新鮮な視点を与えることができなかったようなので反省しています。⽣徒を実際に相⼿にした授業を⾏えたために「よくわかってほしい」、「授業を楽しんでほしい」と⼼底感じました。(三輪千恵)

文責:KALS TA 総合文化研究科博士課程 宮川慎司

お問合せ先

教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門
kals[at]kals.c.u-tokyo.ac.jp